2月11日午前11時オンラインにて。マームとジプシー藤田貴大さんによる、「待ち合わせていた風景を記録する」キックオフトークが始まった。このトークは一般配信され、誰でも視聴できた。藤田さんが話し手を、井出さんが聞き手を務め、春秋座との市民参加型ワークショップ公演『A-S』や『madogiwa』、2020年夏に春秋座で予定されていた『cocoon』上演中止の決断に至るプロセス、これまで続けてきた市民参加型ワークショップの面白み、さらに話は広がり、マームとジプシーが新型コロナウィルスに巻き込まれながら見た社会、演劇との付き合い方、そして改めてワークショップを行う意義について話された。

 はじめは、春秋座との関係でつくった演劇の制作過程の話が中心だったが、次第に演劇を取りまく社会の話へとうつっていった。どうしてそうなったのか、と考えていたが、やはり、社会と演劇は共鳴し合いながら、あるからだと思う。

  2020年夏に上演予定だった『cocoon』中止に至るまでを藤田が話していたとき。『cocoon』のモチーフは、沖縄戦で動員された女子学徒隊のひめゆり学徒隊で、今日マチ子原作の同名の漫画を舞台化した作品だ。藤田はこの作品を上演するか、中止するか、2020年春から夏にかけてギリギリまで迷ったという。もちろんツアーということもあり、公演を中止するとなったときに生じるマームとジプシーの経営面への打撃はとてつもなく大きい。しかし、新型コロナウィルスの渦中にあるいま、観客を集めることのリスクも大きい。それらを天秤にかけたときに『cocoon』という作品の内容を鑑みて中止することを決定したという。モチーフになっているひめゆり学徒隊は、ガマに少女らが集まる。そしてゆくゆくは、虐殺されてしまう。そしてその状況が、いま新型コロナウィルスが蔓延しているなか、劇場に人を集めること、この現実に重なる部分もある。「でもそれは、作品で伝えたいこととは矛盾している。」だから中止だけど、いまも『cocoon」』は続いていると藤田さんは語っていた。だから、『cocoon』は単に公演中止となったわけではない。

 藤田さんの話は、なんども循環しているようにみえた。同じ話を堂々巡りしているわけではなく、分かれて派生していながらも最終的に同じところに戻ってきたり、合流したりまた分かれていくという具合に。『mizugiwa』という作品がマームとジプシーにある。藤田の語りという川に、皆が集って腰を屈め、耳をすませる。話を聞きながら、そんな風景を思い浮かべていた。

(学生スタッフ 毛利)